王子公園暮らし - a way of park -

暮らす人

水道筋での学びを、いつか地元に

#インタビュー

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水道筋での学びを、いつか地元に

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神戸大学3年生 / 根来悠生さん

生まれ育った和歌山県を離れ、進学を機に神戸へ出てきた根来さん。今年で水道筋暮らし3年目を迎えます。

暮らし始めた当初と比べると、知っているお店が増えてきたのはもちろん、イベントに積極的に参加するようになりました。その過程で、水道筋の捉え方に変化が生まれたと話します。

「引っ越してきてから1年は、ただ住んでいるだけの『暮らすためのまち』でした。2年生の頃から商店街のイベントに関わり始め、少しずつまちとの距離が近づいていき、今では『活動するまち』へと捉え方が変化してきました」。

そんな根来さんには、この地域で抱き、育んできた“夢”があるそうです。

「ここで得た経験やつながりは、私にとって本当に大事なものです。それらを活かして、将来は地元和歌山に戻り、地域活性化につながるお仕事をしたいと思っています。神戸を離れても、ここで仲間と活動してきた思い出は無くなりません。関係を絶やさず、“第二の故郷”として、神戸の方たちとは関わり続けたいなと思っています」。

地域の方々と、もっと近い距離で

見知らぬ土地に飛び込み、地域との距離を少しずつ縮めてきた根来さんですが、学生という立場上、「お客さん」の立場でお店の方々と関係をつくっていくのには、経済的にも時間的にも厳しい部分が多くあったと話します。カフェ1軒にしても、店員さんに顔を覚えられるまで通おうと思ったら時間もお金もたくさんかかる。

そこで、根来さんはお客さんとしての関わり方ではなく、イベントスタッフとして関わることで接点を増やし、関係を築いてきました。

2023年1月14~22日にかけて実施され、自身を含め学生が当日運営を担当した「王子公園まち歩きゲーム」ではこんなエピソードが。

「今回のイベントでは、実施にあたって色んなお店に頭を下げて協力のお願いする必要がありました。和菓子屋の『きなり』さんもその一つです。お時間をいただいてご挨拶にうかがったところ、快くOKしてくださいました。しかし、後からよくよく考えてみると、今回のイベントが対象としているエリアから少し外れていたんです」。

こちらからお願いしたのにもかかわらずお断りすることになってしまった根来さん。謝罪にうかがったところ、意外な反応があったといいます。

「せめてものお詫びにと思って地元和歌山のみかんを持って行ったところ、とても喜んでくださったんです。こちら側に非礼があったことですし、申し訳ない気持ちでいっぱいだったのですが、寛容な態度で接してくれてとても温かい気持ちになりました」。

その後、プライベートでお店にうかがった際は「あー!久しぶりやね!この前くれたみかんとっても美味しかったよー」と声をかけてくれ、距離が近づいた感じがして嬉しかったと、笑顔で話してくれました。

やりたいことを、今度は自分たちの手で

お客さんとは異なる、少し近い距離で水道筋と関わり始めた根来さん。最近はお店の人からの相談に乗ることも増えたそう。

「PCが触れるので、お店の人から『この名刺のここに文字入れられへんかな?』といった相談に乗ったり、SNSの使い方についてアドバイスをしたりしています。小さなお困りごとを解決していくにつれ、少しずつ関係ができあがっていくのが嬉しいですね」。

はにかみながら「最近お店の人とLINEの交換もしたんですよ」と話す根来さんからは、地域暮らしをめいいっぱい楽しんでいる様子がうかがえました。

今後の展望について話を聞いてみると、わくわくする企画を考え中とのこと。

「これまでは企画のお手伝いとして商店街のイベントに関わってきましたが、今後は自分たち学生で、学生たちが水道筋商店街を楽しんでもらえるようなイベントを企画していきたいと考えています。一人では入りにくいお店をツアーで回ったり、学祭を商店街と連携して行ったり……。まだまだやりたいことがたくさんあるので、ぜひ楽しみにしていて欲しいです」。

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